今回は、トランジスタの動きと、npn型・pnp型について説明したいと思います。
■npn型とpnp型について
トランジスタの「 npn型 」と「 pnp型 」について説明したいと思います。
npn型とpnp型
トランジスタの話をする前に簡単に「 npn型 」と「 pnp型 」について説明したいと思います。
電子部品について調べていると「 n型 」とか「 p型 」とかをよく見かけるんですけど、この「 n 」とか「 p 」ってなんですか?
また、面白い所を気にしますね。笑
「 n 」や「 p 」は、「 半導体の型 」のことですね。
半導体の型?
半導体ってなんですか?
そうですね~、半導体は・・
ある条件によって電気を通す物質を「 半導体 」と言います。
また、電気を通す物質のことを「 導体 」、電気を通さない物質のことを「 絶縁体 」と言います。
【半導体】
導体 = 電気を通す物質
絶縁体 = 電気を通さない物質
半導体 = ある条件によって電気を通す物質
「 半導体 」を作る時の材料は「 シリコン 」を使用することが一般的で、なぜシリコンを使用するかと言うと地球上に沢山ある元素だからだそうです。
(確か、酸素が一番でシリコンは二番目)
へ~。
「 n型とp型 」に話を戻しますが、n型は「 negative型半導体 」の略で、p型は「 positive型半導体 」の略になります。
【n型とp型】
n型: negative型半導体(-電子)
p型: positive型半導体(+電子)
「 n型 」は電子が余っていて、「 p型 」は電子が不足しています。
電子が余っているものと、電子が不足している状態のものを隣に並べたらどうなると思いますか。
電子が不足している方の物質が、余っている方から電子を欲しがる。とか?
そうですね。
「 n型 」と「 p型 」の半導体を隣り合わせた状態で加工した部品に、電気のプラス・マイナスの向きを変えると、電気が流れたり流れなかったりする現象が発生するので、この性質を利用し電子部品を作る時にも役立てています。
LED(発光ダイオード)もこの原理を利用しているので、一方向に電気を通す特徴を持っています。
へ~。
LED(発光ダイオード)は「 n型とp型 」二つの半導体を利用して作られているため足が2本ですが、
「 トランジスタ 」という部品は「 npn型 」と「 pnp型 」と三つの半導体の組み合わせで作られているため、下図のように足が3本ある状態になります。
どのような動きをするかは「 トランジスタについて 」で説明したいと思います。
n型p型の話をこのまま続けると、とても長くなってしまうので今回はここまでにしておきます。
ポイント!
・n型とかp型は、半導体の「 negative型 」と「 positive型 」のこと。
・n型とp型を組み合わせて使用することにより電気の流れをコントロールできる。
■トランジスタについて
トランジスタについて説明したいと思います。
(バイポーラトランジスタ)
おさらい
「 トランジスタ 」については、初めのころに少し説明したことがあるので少しおさらいしてみたいと思います。
【おさらい】
<特徴>
・足が3本ある。
・小さな電気信号で大きな電気信号をコントロールする。
・電気信号をON/OFFする(スイッチの役割)。
・「 npn型とpnp型 」二つの型がある。
<足の名前>
・エミッタ (Emitter/放出する)
・コレクタ (Collector/集める)
・ベース (Base/土台)
<種類>
・バイポーラトランジスタ(BJT)
・電界効果トランジスタ(FET)
※ 特に指定がない場合、トランジスタと言ったら「 バイポーラトランジスタ 」のことを言う事が多い。
トランジスタとは
トランジスタとは、「 小さな電流で 大きな電流を コントロールする部品 」になります。
「 コントロール? 」
あれ、トランジスタって「 増幅 」させる部品じゃないんですか?
よく入門書などで、「 トランジスタ = 増幅 」という説明を見かけますが、厳密に言うと「 増幅はしていません 」。
えっ!?
そうなんですか。
分かり易いので増幅と覚えてもらっても良いですが、
これからする説明を聞いたら「 トランジスタ=増幅ではなく 」、トランジスタは「 小さな電流で 大きな電流を コントロールする部品 」ということが分かると思います。
トランジスタの動き方について
トランジスタには足が3本あり、それぞれを「 エミッタ 」「 コレクタ 」「 ベース 」と呼んでいます。
このエミッタ、コレクタ、ベースの「 電流の動き方 」についてこれから説明したいと思います。
※ 今回は「 npn型 」の説明をしたいと思います。
下図のような回路があったとします。
※ 理解しやすくするため、抵抗など詳細は無視しています。
まず、ベース側(左側)の回路に小さな電流を流します。
すると、それにつられてコレクタ側(右側)の回路の大きな電流が動き出します。
今度はベース側(左側)の電流を停止させます。
すると、それにつられてコレクタ側(右側)の回路の大きな電流が停止します。
このように、ベース側(左側)の小さな電流の動きを操作することにより、コレクタ側(右側)の大きな電流を「 コントロール 」することができるのがトランジスタです。
「 コントロール 」しているだけなので、「 増幅 」とは少し違いますよね。
そうですね。
トランジスタの増幅について
なんでトランジスタは「 増幅 」って言われるんですか?
なぜ「 トランジスタ = 増幅 」と言う人が多いかと言うと、トランジスタは「 増幅させる回路に使う 」からです。
例えば小さな声でマイクに向かってしゃべるとします。
それが先ほどの左側の小さな電流(電気信号)だとします。
すると、その小さな電流(電気信号)につられ、今度は右側の大きな電流が動きます。
この大きな電流の方をスピーカーだとしたら、小さな声が大きくなりますね?
そのため、「 小さな声を大きく増幅している装置 」=トランジスタは増幅? と勘違いしてしまう要因になっているのです。
なるほど~!
ここの違いを理解していないと、トランジスタは「 さっぱり?? 」になるためしっかと理解しましょうね。
は~い。
× トランジスタ = 増幅
〇 トランジスタ = 電流のコントロール(スイッチの役割)
電流のコントロール(スイッチの役割?)
ここまでの内容を整理すると、トランジスタは「 小さな電源(V1) 」で「 大きな電源(V2) 」をコントロール(スイッチング)する部品になります。
言い換えると、大きな電源(V2)の電流が流れないようストップさせておき、小さな電源(V1)の電流で「 コントロール(スイッチング)する部品 」になります。
コントロール(スイッチング)は、電源のON/OFFもできますし、電流の量も調整可能です。
例えば
・小さな電子基板で家庭用の大きな電源をコントロールすることが出来る。
・マイクで拾った小さな声を、大きなスピーカで放送する。
pnp型トランジスタの動きについて
簡単に「 pnp型トランジスタ 」についても少し触れておきたいと思います。
pnp型は、回路記号をよく見ると分かるのですが、矢印の向きが違います。
【矢印の方向の違い】
npn型 = ベースからエミッタへ電流が流れる
pnp型 = エミッタからベースへ電流が流れる
回路図的には下図のような流れになります。
接地
ついでに「 接地 」についても少し触れておきたいと思います。
トランジスタには足が3本ありますが、その足の接続の仕方(トランジスタの使い方)によって3つの呼び方があります。
【3つの呼び方】
・エミッタ接地(エミッタを共通に使用する)
・コレクタ接地(コレクタを共通に使用する)
・ベース接地(ベースを共通に使用する)
下図の回路は、npn型トランジスタの「 エミッタ接地回路 」になります。
ポイント!
・トランジスタは「 小さな電流で 大きな電流を コントロール(スイッチング)する部品 」。
・トランジスタは増幅回路に使用します。
・電界効果トランジスタ(FET) や他のトランジスタについては、今回説明したバイポーラトランジスタと動きが違うので気を付けてください。
■トランジスタの動きを深堀り
トランジスタの動きについて掘り下げて説明したいと思います。
トランジスタの動き
さきほど、「 左側の小さな電流で右側の電流をコントロール 」すると言いましたが、左側の小さな電流のことを「 ベース電流 」と言います。
ベース(B)からエミッタ(E)へ電流を流すことにより
コレクタ(C)からエミッタ(E)に電流が流れるようになります。
また、ベース電流(B)を大きくすると、それに比例してコレクタ電流(C)も大きくなります。
× ベース電流が大きくなって、コレクタ電流になった。
〇 ベース電流でコレクタ電流をコントロールする。
hFE(直流電流増幅率)について
ベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)って、「 小さい電流 」とか「 大きい電流 」って言ってるけど、どれくらいの差があるんですか?
どれくらいの差があるかというと、
左側に流した小さいベース電流(IB)の「 hFE倍 」が 右側の大きいコレクタ電流(IC)に流れます。
「 hFE 」とは、直流電流増幅率(ベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)の比率こと)を言います。
「 hFE(直流電流増幅率) 」が「 hFE 100 」なら100倍、「 hFE 10 」なら10倍違います。
一般的には、100倍程度を使用することが多いです。
100倍も差があるんですね!
そうですね。
トランジスタを購入する時は、このhFE(直流電流増幅率)を使用用途によって選んでください。
は~い。
コレクタ電流(IC)は、ベース電流(IB)のhFE(直流電流増幅率)倍と説明しましたが、その他の関係性についても説明しておきたいと思います。
【IE・IC・IBの関係性】
コレクタ電流(IC) = ベース電流(IB) × hFE
エミッタ電流(IE) = ベース電流(IB) + コレクタ電流(IC)
ベース電流(IB) = エミッタ電流(IE) – コレクタ電流(IC)
VBEについて
トランジスタのことを調べると「 VBE 」っていう言葉を目にするんですけど、「 VBE 」ってなんですか?
VBEとは、「 ボルト・ベース・エミッタ 」の略で、「 ベースとエミッタ間に掛かる電圧 」のことです。
簡単に言うと、トランジスタを使うために必要な電圧(V)ですね。
また、「 コレクタとエミッタ間に掛かる電圧 」のことを、「 VCE 」と言います。
へ~。
シリコン製のトランジスタでは、ベース電流(IB)に電流が流れていれば、VBEはほぼ一定の「 約0.7V 」になる特徴があります。
理由は、グラフで表すと下のグラフのように、VBEが0.7Vを超える辺りで、一気に垂直になり、その後ほとんど変化しない特性のためです。
※この図はイメージです。
さいごに
トランジスタは
「 増幅回路に使用する 」
「 小さな電流で 大きな電流を コントロール(スイッチング)する部品 」
ということを理解いただけたでしょうか。
はい。
分かりました!
ポイント!
・VBEとは、トランジスタを動かす電圧のこと。(約0.7V)
・hFEとは、直流電流増幅率。(ベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)の比率こと)
■まとめ
n型とp型
・n型とかp型は、半導体の「 negative型 」と「 positive型 」のこと。
・n型とp型を組み合わせて使用することにより電気の流れをコントロールできる。
トランジスタ
・トランジスタは「 小さな電流で 大きな電流を コントロール(スイッチング)する部品 」です。
・トランジスタは増幅回路に使用します。
・電界効果トランジスタ(FET) や他のトランジスタについては、今回説明したバイポーラトランジスタと動きが違うので気を付けてください。
トランジスタの深掘り
・VBEとは、トランジスタを動かす電圧のこと。(約0.7V)
・hFEとは、直流電流増幅率。(ベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)の比率こと)
ご注意
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