【電子工作入門】「直列接続」と「並列接続」の「合成抵抗」の計算方法と実習！

今回は、「直列接続」と「並列接続」の「合成抵抗」の計算方法について説明したいと思います。

ここまで、電子工作について色々と説明してきましたが、そろそろ電子工作を行う上で避けては通れない「　抵抗値の合計値（合成抵抗）　」の計算方法について説明したいと思います。

※　今回と次回の2回に分けて、「　実習　」を交えて説明して行きたいと思います。
※　説明は「　直流電源回路（DC）　」の説明になります。

いやいや、計算と言っても内容は、「　算数レベルの計算　」なので、あまり身構えなくても良いですよ。

「　抵抗値の合計（合成抵抗）　」の計算方法は、抵抗の値を求める時に基本となる大切な内容のため是非読んで頂きたいと思いますが、暗記などせずメモを取るなり、必要に応じて読み直してもらえれば良いと思います。

では、よろしくお願いします。

はじめに「　合成抵抗　」について説明しておきたいと思います。

よろしくおねがいします。

「　合成抵抗　」とは、複数の抵抗を組み合わせた時の「　全体の抵抗値　」のことを言います。
抵抗の接続方法に応じて、合成抵抗の計算方法が異なり、主に「　直列接続　」と「　並列接続　」の2種類があります。

あまり難しく考えずに、「　抵抗の合計値　」と理解してもらえばよいと思います。

また、合成抵抗が分かるようになると下記のような利点もあります。

まずは「　直列　」接続の合成抵抗から説明したいと思います。

抵抗を「　まっすぐ（直列）　」に接続した時の「　抵抗値の合計（合成抵抗）　」について説明して行きたいと思います。

抵抗を「　直列　」に接続した時の「　合成抵抗　」は、抵抗の値を足していくだけで簡単に導き出すことが出来ます。

例えば、「　2Ω　」と「　3Ω　」の抵抗を直列に繋げた時の合成抵抗は「　5Ω　」になります。

そうですね。

では、抵抗を「　直列　」に繋げた時の合成抵抗を計算してみましょう。

抵抗を「　直列　」に繋げた時の合成抵抗は、
足していくだけで導き出すことができます。

では、「　直列　」に接続した抵抗の値を実際に測定してみましょう。

回路と言っても抵抗を直列に繋げるだけの単純なものになります。

※　スイッチの接続は必要ありません。
※　電源（乾電池）の接続は必要ありません。

下図はブレッドボード接続時の例になります。
上記回路図の配線になっていれば、別の形で繋いでも問題ありません。

抵抗を「　直列　」に繋いだ時の合成抵抗は、単純に足し算するだけで求めることが出来ます。
この、単純な計算を応用していくことで、複雑な回路も計算することが出来るようになるため、しっかりと理解しておきましょう。

時間が許す方は、抵抗を「　3つ、4つ　」と増やして予想通りの結果が得られるか確認すると、より理解が深まると思います。

分かります。
抵抗を「　並列　」に繋げた時の合成抵抗の計算は少し複雑ですよね。

いいですよ。
では、今回は特にゆっくりと分かりやすく説明したいと思いますね。

よろしくお願いします。

まずは、「　抵抗を並列に接続する　」と言うことを考えてみましょう。

抵抗を「　並列　」に接続すると言うのは、下図のような接続方法になります。

この、並列に接続した抵抗の合成抵抗を測定する時は、
回路の「　分岐地点　～　合流地点　」を測定することで
「　合成抵抗を測定　」することが出来ます。

合成抵抗の「　測定箇所　」は、抵抗が「　３つになっても４つになっても　」下図のように変わりません。

ここまでは分かりますか。

では、抵抗を「　並列　」に接続した時の合成抵抗の計算方法について下記にてくわしく説明したいと思います。

抵抗を「　並列　」に接続した時の合成抵抗の計算方法は少し難しいため、先ずは例を見ながら説明したいと思います。

下図のような回路の場合について考えてみましょう。

並列回路の合成抵抗（合計値）を求める式を簡単に言うと、

「　1/合成抵抗　＝　1/抵抗値①　＋　1/抵抗値②　・・・　」と言う式になります。

※　・・・部は抵抗を複数使用時に追加してください。

先ほどの並列回路の例を「　計算式　」に当てはめると、
「　1/合成抵抗　＝　1/2Ω　＋　1/4Ω　」と言う式になります。

並列の合成抵抗を求める時の式は、あまり深く考えずに、
「　合成抵抗　＝　抵抗値①　＋　抵抗値②　・・・　」という式をまずは作り、

その式の上（分子）に「　1　」を乗せてしまえば式の完成です。

内容が難しくなるため深い説明は避けますが、並列の合計値を求める式は、
本来「　合成抵抗の逆数　＝　抵抗値①の逆数　＋　抵抗値①の逆数　・・・　」
という式になります。

「　逆数　」の計算・・・
などと言うと難しく感じてしまうと思い、
「　式の上（分子）に　1　を乗せる　」という言い方をさせてもらいました。

言い方は違いますが、計算式は変わらないため、
「　式の上（分子）に　1　を乗せる　」と覚えてもらえば良いと思います。

折角なので逆数について少しだけ説明すると、
逆数とは、ある「　数　」に掛け合わせると「　1　」になる数のことを言います。

上記を踏まえると
「　抵抗値　」の逆数は「　1/抵抗値　」、
「　合成抵抗　」の逆数は「　1/合成抵抗　」ということが言えますよね。

そのため、「　合成抵抗　＝　抵抗値①　＋　抵抗値②　・・・　」
という式をまずは作り、その式の上（分子）に全部「　1　」を乗せてしまえば、

「　合成抵抗の逆数　＝　抵抗値①の逆数　＋　抵抗値②の逆数　・・・　」

と言う式が完成するというわけです。

そうですね。笑

では、「　並列の合成抵抗を求める式　」の作り方が分かったところで、今度は式の「　解き方　」について説明したいと思います。

下図のような並列回路を使って、式の解き方を考えてみましょう。

上の回路を式にすると、「　1/合成抵抗　＝　1/2Ω　＋　1/3Ω　」になります。

いくつか解き方がありますが、
分かりやすそうなものを二つ紹介したいと思います。

一つめは
「　小数点にして計算する方法　」になります。

先ほどの計算式：
「　1/合成抵抗　＝　1/2Ω　＋　1/3Ω　」

まず、右辺の「　1/2Ω　＋　1/3Ω　」を計算します。

1/2　は　「　1　÷　2　」なので、
1　÷　2　=　0.5　で「　0.5　」

同様に、1/3　は　
1　÷　3　=　0.33・・・　で「　約0.33　」

※ 0.33以下は切り捨てています。

「　1/合成抵抗　＝　0.5　＋　0.33　」を計算すると

0.5　＋　0.33　＝　0.83　で「　0.83　」

「　1/合成抵抗　＝　0.83　」の
左辺の「　1　」を右辺に持っていきます。

1/0.83　は　
「　1　÷　0.83　」なので、

「　合成抵抗　＝　1　÷　0.83　」の右辺を計算すると
「　1　÷　0.83　＝　1.204・・・　」で「　約1.2　」

※ 1.2以下は切り捨てています。

「　合成抵抗　＝　約1.2　」となります。

二つめは
「　なるべく分数のまま計算する方法」になります。

先ほどの計算式：
「　1/合成抵抗　＝　1/2Ω　＋　1/3Ω　」

右辺の「　1/2　＋　1/3　」を通分すると
「　3/6　＋　2/6　」になります。

※　通分とは、分母を揃える作業のことです。

右辺の「　3/6　＋　2/6　」を計算すると、
「　5/6　」になります。

5/6は「　5　÷　6　」なので、

5　÷　6　＝　約0.83・・・

※　0.83以下は切り捨てています。

ここからは上記と同様に、
「　1/合成抵抗　＝　0.83　」の左辺の「　1　」を右辺に持っていき

1/0.83　は　
「　1　÷　0.83　」なので、

「　合成抵抗　＝　1　÷　0.83　」の右辺を計算すると
「　1　÷　0.83　＝　1.204・・・　」で「　約1.2　」

※ 1.2以下は切り捨てています。

「　合成抵抗　＝　約1.2　」となります。

以上のことから、
「　合成抵抗　＝　約 1.2Ω　」となります。

小数点以下のレベルで多少の誤差はありますが、
どちらの方法で計算しても問題ないため、
自分の分かりやすい方で計算すればよいと思います。

少し長くなってしまいましたが、
このようにステップを踏んで計算を行えば答えを導き出せるようになります。

さくらさん、何となく理解してもらえたでしょうか。

そうですね。

折角なので、試しに計算してみましょう。

例えば並列に抵抗を4つ繋げた回路の場合。

「　合成抵抗　＝　1Ω　＋　1Ω　＋　2Ω　＋　3Ω　」と言う式を一旦考え、
各分子に「　1　」を乗せてあげます。

そうすると

「　1/合成抵抗　＝　1/1Ω　＋　1/1Ω　＋　1/2Ω　＋　1/3Ω　」

という並列回路の合成抵抗を求める式を作ることが出来ます。

計算式が出来上がったので、
作成した式を先ほどと同様に解いてみましょう。

先ずは、
分数を小数点にしてから計算する方法で解いてみます。

右辺を計算します。
1　÷　1　=　1
1　÷　1　＝　1
1　÷　2　＝　0.5
1　÷　3　＝　0.33･･･

※　0.33は切り捨てています。

右辺の足し算をします。
1　+　1　+　0.5　+　0.33　＝　2.83

左辺の「　1　」を
右辺に持っていきます。

右辺を計算します。
1　÷　2.83　＝　0.35･･･

※　0.35は切り捨てています。

合成抵抗は「　約0.35Ω　」になります。

なるべく分数で計算する方法で計算したいと思います。

説明は省略しますが、下記になります。

合成抵抗は「　約0.35Ω　」になります。

「　並列　」に抵抗を繋げた場合は、少し複雑になりますが、ゆっくりと計算してあげると合成抵抗を求めることが出来るようになります。

では、「　並列　」に接続した抵抗の値を実際に測定してみましょう。

回路と言っても抵抗を「　並列　」に繋げるだけの単純なものになります。

※　スイッチの接続は必要ありません。
※　電源（乾電池）の接続は必要ありません。

下図はブレッドボード接続時の例になります。
上記回路図の配線になっていれば、別の形で繋いでも問題ありません。

小数点にして計算する方法を参考に記載します。

抵抗を「　並列　」に繋いだ時の合成抵抗は、少し複雑ですが、計算することで求めることが出来ます。

時間が許す方は、抵抗を「　3つ、4つ　」と増やして予想通りの結果が得られるか確認すると、より理解できると思います。

今回スイッチは「　OFF　」、つまり回路が繋がっていない条件にしましたが、
例えば下図のように回路が繋がっている状態で抵抗を測定したら、測定結果は「　何Ω　」になると思いますか。

いいえ、答えは「　0Ω　」になります。

例えば水が流れているとき、大きな石が流れの邪魔をしていたら、
水は流れやすい方に流れますよね。

電気も水と同じように、流れやすいほうに流れる特徴があります。

抵抗の足を直接繋ぐということは、ほとんど抵抗のない状態「　ほぼ0Ω　」になるため、0Ωの方にほとんどの電気が流れてしまいます。

この回路、一見「　直列回路　」のように見えますが、
抵抗を測定するときは「　並列回路　」で考えます。

折角なので、実際に抵抗の足を繋げて、テスターで「　0Ω　」になるか確認してみると面白いと思います。
※　抵抗の大きさは100Ωでなくても問題ありません。